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HNDのルーツである九十九里浜にて地元のお店での販売風景。漁師の町らしく、塩辛とわかめに挟まれて販売。

FOOD&COMPANYでも、発売以来不動の人気を誇るHAPPY NUTS DAYのピーナッツバター。千葉のスケーター達が作ってるらしい、という事くらいしか表に出る事はあまりなく、このピーナッツバターの背景は実はまだまだ知られていないのではないでしょうか。HAPPY NUTS DAYというブランドと彼らのルーツに迫るべく、代表を務める中野剛さんを訪ねて、FOOD&COMPANY谷田部と白が九十九里浜まで行ってきました。

2014年半ばあたりから、突如様々なメディアで目にする様になったHAPPY NUTS DAYのピーナッツバター。どんな経緯でHAPPY NUTS DAY(以下、HND)というブランドがスタートしたのか。まずは彼らの始まりを伺いました。

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HAPPY NUTS DAYの畑付近。種まきは5月、収穫は10月頃。

「もともと僕中野とスケーター仲間だったムラ(HND設立当初の同社代表・村井駿介氏。現在はHNDから離れ、自身の新たな夢に向かって挑戦中とのこと)と彼の出身地である千葉を自分たちで盛り上げていこう!というのが始まりで」。

「本当は、最初はトマトだったんですよ。ムラがトマトは日持ちしないから加工品として売り出せるトマトジュースの作り方を勉強したい、と。ある時ムラにトマトの年間廃棄量を聞いたら、「トマトは日持ち悪いんですけど、完売なんです。だから~、あの~、落花生でなんかできないですかね」と(笑)。それで僕が、じゃあピーナッツバターでも作ってみる?って提案して(笑)」。

そんなひょんなきっかけでスタートしたピーナッツとの関係。現在ほどの人気商品に成長するまでにはどのような道のりだったのでしょうか?

「最初の頃はスケボーで遊んだ帰りに、ムラと二人ですり鉢でゴリゴリ作ってみてたんです、ピーナッツバターを。ピーナッツ御殿建てるぞー!ってムラと冗談いいながら。でもすり鉢だといくらやっても全然どろどろにならなくて、段々いらだってきて(笑)。 しばらくして小さな家庭用ミキサーを買って色々試作してみてました」。

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そんな、二人の九十九里を盛り上げたい!という熱意と勢いで始まったピーナッツバター作り。剛さんは周りの友人や知人などに、自分たちでピーナッツバターを作っている、という話をよくしていたそう。そんな折、偶然か必然か、とあるビックチャンスが彼らの元に舞い込んでくることに。

HNDを大きく成長させたターニングポイント「スヌーピー展」

2013年10月六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリーで行われた「スヌーピー展」。
まだ自分たちのピーナッツバターをオリジナルとして商品発売するにも至っていなかった彼らが3ヶ月で3万個ものピーナッツバターを販売することとなりました。

「僕がいろんな人にピーナッツバターの話をしていたんですね、その頃。それでたまたま、森美術館で販売するグッズを作っている会社の方に話がいったみたいで。ちょうどそのころ森美術館で「スヌーピー展」が企画されていて、オリジナルグッズとして販売するピーナッツバターを探していたみたいなんです。それで、友人伝手に剛くんのところで作れるかな?と聞かれて。で、もちろんつくれるよー!って。本当は全然作れる段階ではなかったんですけどね(笑)」。

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HAPPY NUTS DAY代表の中野さん、九十九里浜海岸にて

その時はまだ剛さんと村井さんが自宅で家庭用ミキサーを使いながら、細々と試作のピーナッツバターを作っていた頃だったとか。

「それで、とりあえずそのグッズ制作の会社の方とお会いすることになって。その時には一応HAPPY NUTS DAYの会社の登記はしてあったんですけどまだなんの準備も整っていない時でした。商談でサンプルとして出したピーナッツバターは僕らが家庭用ミキサーで作ったやつだったんですけど、「おお、うまいね!」って先方には言ってもらえて。どうにか気に入って頂くことができて、とりあえず5000個作ってくれ!って注文を頂きました。内心、やべーっ!どうするー!?って思いました。けど、やるしかないでしょ、って」。

ピンチか、それともビックチャンスか。大口受注を受けたものの大規模な生産の準備は全く整っていなかった当時のHND。メンバーの一人であり、長年食品業界での経験があった錦さんのネットワークを駆使していろんな工場に掛け合い、生産ラインを組んでくれる工場を片っ端から探したそうです。

「実は途中で先方の会社の方に僕たちが本当は準備出来てなかった事がバレたんです。でもありがたいことに「プランBは考えてないから、お前ら頑張れ」、って言ってくれたんです」。

「とにかく、片っ端から協力してくれそうな工場を探し続けて、ようやく九州の醤油工場が手を上げてくれました。どうにか最初の約束通り5000個を無事に納品できました。それからすぐに追加オーダーで結局3ヶ月で約3万個販売したんです」。

「でも、それってうちのピーナッツバター全然関係なくて(笑)。瓶にプリントされてたスヌーピーがレアなバージョンだったんです。みんなそのパッケージ欲しさにうちのピーナッツバターを買ってくれたんですよね。Twitterとかでもみんな、空き瓶楽しみー!って(笑)。中身は捨てちゃった人とかもいたんじゃないかなあ」。

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九十九里浜の海岸を背にその時の様子を話すHAPPY NUTS DAY中野さん(右)、FOOD&COMPANY 谷田部(左)

 

しかし、そんな好調な売れ行きとは裏腹に、ピーナッツバター特有の粘度の高さのせいで、生産を請け負ってくれていた醤油工場の機械が壊れてしまうことに。

「それで、もうこれ以上は作れないって言われて。大豆とピーナッツでは性質が違いすぎるので仕方ないですよね。でも幸い、ピーナッツ展が終了したタイミングでした。お願いしていた醤油工場がダメになってからはまた工場探しの振り出しです。その間とりあえず、ピーナッツ展の収益でミキサーを2台買いました」。

その場に居合わせたみんなが、業務用の高性能のミキサーの事だと思っていたのですが…。
「あ、いえ、家庭用の。クイジナートのです」。

そんな、HNDのみんならしい茶目っ気に一同は大笑い。

「ミキサーで作ったピーナッツバターを地元の道の駅で試食販売とかしてたんですよ。その間も引き続きラインを組んでくれる工場を探して、ようやく見つかったのが、今もお願いしている工場です」。

 

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工場での焙煎師による焙煎の様子

 

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ピーナッツの焙煎具合をチェックする焙煎師

 

ピンチをチャンスに。いつだって、新たな可能性はそこから見えてくる。

「そういうのがなかったら、もしかしたら、ちゃんとやらなかったんじゃないかなあ」。

ピーナッツ展に向けたあの虚勢がHNDを大きく飛躍させてくれるきっかけになった、と当時を振り返る剛さん。勢いで受け持つことになった大口の受注案件を見事やり遂げたHNDのメンバー。当時のことを冗談交じりに淡々と語る剛さんだが、その背景にはかなりの焦りや不安があったはず。そんな困難も仲間たちと楽しみながら乗り越えてきたのだろう。剛さんの肩の張らない、でもしっかりと軸を持ったピーナッツへの姿勢、ストーリーの伝え方にとても清々しい気持ちを覚えました。

HNDの成長とは裏腹に、千葉県しいては日本全体の落花生農家の数は近年減少の一途をたどるのみだそう。そんな中、HNDが思い抱く今後の展望とはなんでしょうか?

「落花生の農家は年々減ってるんです。若手と言われる人たちが60代前半とか、そんな感じです。落花生のニーズ自体がすごく減っていて、需要がないから買い手も少なく作り手はどんどん他の売れる農作物を作るようになっちゃって。僕らはHNDというブランドを通して落花生農家をふやしていけるくらいのインパクトを持てるようになって行きたいですね。落花生農家を増やせるような何か、例えばHNDが企画する農業体験のようなものも今後やって行きたいと思ってます」。

「最初はただ自分たちが楽しくてやっていただけだったんですけどね。だんだん、関わる人が増えてきて。最初は想像していなかった自分たちの価値、みたいなものが見えてきた感じですかね」。

設立から2年強たった今、自身の立ち位置がより明確に見えてきた、とHNDスタート当初と今の気持ちや状況の変化を話してくれた剛さん。自分たちが発信して行きたい九十九里浜や千葉、そして日本の未来の姿を描きながら、世界との架け橋となってくれるであろう力強さをひしひしと感じ取れました。彼らのホームページにはこんなメッセージが書いてあります。

僕たちは、大好きな仲間と、大好きな場所で、大好きなピーナッツを、世界中の誰にも負けないクオリティで、皆様にお届けします。

日々を味わう 景色を香り 音に触れ “今”に耳を傾ける。しあわせは、目の前に溢れてる。はず。

そんな彼らの、シンプルで心にすーっと染み入る様な、だけどちゃんと彼ららしいユーモアのあるメッセージ。そしてそれを体現するHAPPY NUTS DAYのメンバーの潔く飾らない等身大の姿勢に、多くのファンはいまもこれからも、魅了されるのかもしれません。

中野 剛

HAPPY NUTS DAY 代表取締役/アートディレクター
スケートボードの為に入学したNYの高校、山奥での自給自足生活から帰国後、多摩美術大学、広告代理店を経て現職。日本の持つ価値の高さを体現するブランディングカンパニーを目指し、第一弾として千葉県の名産落花生を使用したHAPPY NUTS DAYをスタート。

http://happynutsday.com/

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